エステサロンの衛生管理
手順にしておけば、誰が入っても同じ施術になり、お客様に説明できるサロンになります。
衛生の基準を押さえると、何が変わる?
エステティック業には業法がありません。そのかわり、業界に「エステティックの衛生基準」(公益財団法人日本エステティック研究財団)があります。これを手順にしておくと、誰が入っても同じ施術になり、お客様に説明できるサロンになります。
基準を押さえると、できること
押さえるところが分かれば、あとは安心して組み立てられます。

決まりが手順になっていれば、教えるときに迷いません。
「どう衛生管理していますか」に、根拠をもって答えられます。
基準どおりに動いていた記録は、サロンを守る材料になります。
「エステティックの衛生基準」
エステティックは、お客様の肌や身体に直接触れて施術を行なうため、常に適切な衛生管理の維持が求められる。公益財団法人日本エステティック研究財団の「エステティックの衛生基準」に準じ、施設・設備・機器・備品等の清掃・洗浄・消毒および正しい手洗いを励行して衛生の維持・向上を図り、全ての消費者およびエステティシャンの安全と健康の確保に努める。
一般社団法人日本エステティック振興協議会「エステティック業統一自主基準」Ⅳ.4.衛生に関する遵守事項
衛生基準は、次の6つで組み立てられています。
①衛生管理の基礎知識の習得 ②衛生管理体制の構築 ③衛生的取扱い(手指衛生・環境・清掃・器具とタオル・消毒方法・吐しゃ物の処理) ④健康状態の把握 ⑤健康被害防止対策 ⑥施設・構造
まず、体制をつくる
- 衛生管理要領をつくる開設者は、施設および取扱い等に係る具体的な衛生管理要領を作成し、従業者に周知徹底すること。紙にして、全員に配るところまでが求められています。
- 衛生管理責任者を決める開設者は施設ごとに衛生管理責任者を定め、エステティックが衛生的に行われるよう、常に従業者の衛生教育に努めること。責任者には適切な研修を実施すること。
- 毎日、従業者の健康状態を確認する責任者は毎日、従業者の健康状態を確認する。感染性の皮膚疾患にかかったときは、ただちに施術を禁止し、治癒するまで施術に従事させない。発熱・嘔吐・下痢・腹痛・発疹・咳などがある場合は受診させるなど適切な処置をとる。
- 毎日、施設・設備・器具を点検する責任者は毎日、施設、設備、器具等の衛生全般について点検管理する。
清掃の頻度(衛生基準)
- 施設・排水溝 … 1日1回以上
- 消毒済みの器具類・タオル類・用具類の保管場所 … 1週間に1回以上
- 照明器具 … 1年に2回以上(あわせて適正な照度の維持に努める)
- 換気装置 … 定期的に点検・清掃
手指衛生 ― 場面で使い分ける
| 場面 | すること |
|---|---|
| ふだん(目に見える汚れがない) | 速乾性擦式消毒剤による消毒 |
| 施術の前と後/目に見える汚れがあるとき | 流水を用いた衛生的手洗いを行った後、速乾性擦式消毒剤による消毒 |
手指の洗浄後は、清潔なタオル、使い捨てのペーパータオル等で拭き取ります。
設備の条件:施術室内および施設内の適切な箇所に従業員専用の流水装置の手洗い設備を設け、石ケン・消毒液等を備え、清潔に保持し、常に使用できる状態にしておくこと。
※ 従業者は常に爪を短く切り、身体および頭髪を清潔に保つこと。顔面施術時には清潔なマスクを使用すること。
器具とタオル ― お客様一人ごと
皮膚に接する器具類は、お客様一人ごとに消毒した清潔なものを使用する。使用後に洗浄し、消毒する。
皮膚に接するタオル類は清潔なものを使用し、お客様一人ごとに取り替える。使用後に洗浄し、消毒する。
施術直後に洗浄できない場合は、使用済みのタオル類・器具類をふた付きの容器に収納する。
洗ってから消毒する(順番が決まっています)
- 使用後 流水で流す → 洗剤をつけたスポンジ等で表面をこする → 流水(10秒以上、1ℓ以上)で流す
- 汚れを落としてから消毒する。有機物(汚れ)が残っていると消毒の効果が低下する
- 消毒液を使用した場合は、消毒後に流水ですすぐ
- 洗浄・消毒の前に、使い捨て手袋・エプロン等を装着する(マスク、ゴーグルが望ましい)
| 血液・体液が付着した可能性のある器具 | 付着した可能性がない器具 | |
|---|---|---|
| 熱 | 熱水 80℃で10分/煮沸は沸騰してから2分以上 | 左と同じ方法も使える/蒸気消毒は器内が80℃を超えてから10分以上 |
| 塩素 | 0.1%次亜塩素酸ナトリウム液(有効塩素濃度1000ppm)に10分間 | 0.02〜0.05%(200〜500ppm)に10分間以上 |
| アルコール | 76.9〜81.4v/v%エタノール液に10分間以上浸す | 同エタノール液を含ませた綿・ガーゼで表面を拭く |
| 紫外線 | ― | 85μw/c㎡以上の紫外線を連続20分間以上照射 |
| その他 | ― | 0.1〜0.2%逆性石ケン液/0.1〜0.2%両性界面活性剤液に10分間以上 |
※ 金属器具・動物性繊維は腐食、プラスチックやゴムは劣化の可能性があるため、必要以上に長時間浸さない、消毒後すぐに洗い流すなど、取扱いに注意します。紫外線は、構造が複雑で直接照射を受けにくい形状の器具には適しません。
※ タオル類は、熱水80℃で10分/「洗濯→すすぎ」の後に0.02%次亜塩素酸ナトリウム液に5分間浸漬/蒸気消毒(器内80℃超で10分以上)。血液や体液が付着したものは他と分けて消毒するか廃棄します。
※ 洗浄・消毒済みの器具類は、使用済みのものと区別して、清潔で乾燥したふた付きの収納ケース等に保管します。
施術室の環境 ― 数字で決まっています
| 項目 | 基準 | 補足 |
|---|---|---|
| 照度 | 300LUX以上 | 施術中の施術面。目安は30W蛍光灯2本。リラクセーション目的でやむを得ず落とす場合は、施術前後に300LUX以上で施術面の観察を行う |
| 二酸化炭素濃度 | 1,000ppm以下 | 倦怠感、頭痛、息苦しさ等があったらすぐ換気 |
| 一酸化炭素濃度 | 10ppm以下 | 軽度の頭痛を感じたらすぐ換気 |
| 浮遊粉塵 | 0.15mg/m³ | ほこりやカビなどが原因。清掃を徹底する |
| 室温 | 17〜28℃ | 温度計で適宜確認 |
| 相対湿度 | 40〜70% | スチーマー等の影響で高くなりカビが発生するおそれ。施術を行っていない時間に集中的に換気する |
※ 施術室内には不必要な物品等を置かないこと。ねずみ・昆虫等が生息しない状態に保つこと。
※ 湿度が高くなりやすい施術室の家具は、真菌が増殖しやすい木製ではなく、プラスチック製、金属製が望ましいとされています。
※ 営業施設内に浴室またはサウナ室を設ける場合は、公衆浴場法の規定によることとされています(サロン開業の資格と届出)。
施術の前に、確認すること
お客様に確認する(健康被害防止対策)
- 感染症および皮膚疾患等の治療中か
- アレルギー体質か
- 薬を服用しているか
- 敏感肌であるか
- その他、エステティック施術を受ける障害のないこと
🔴 施術期間中に体調を崩したり、施術部位に異常が生じたりした場合は、直ちに施術を中止し、医師の診察を受ける等の適切な処置を実施します。
※ 感染症もしくはその疑いのある方、皮膚疾患のある方を扱ったときは、施術終了後に従業者の手指や使用した器具等の消毒を厳重に行います。
当協会の課程では
衛生管理は、受講前に覚えてきていただく範囲です。お申し込みが成立した方には、事前の学習用テキストを無償でお送りしています。その第1章が「皮膚美容 衛生管理」です。講座は、ここを身につけていただいた前提で進みます。
作業場の衛生管理、消毒の種類と方法、器具・備品の扱い。事前の学習用テキストの第1章です。
3日間は実技が中心です。衛生の基礎は、受講の前に身につけていただきます。
日本のサロンで守るのは、このページにある日本の衛生基準です。数値はすべて、こちらで運用します。
よくあるご質問
エステサロンの衛生管理に、法律の決まりはありますか。
エステティック業そのものには業法がありません。ただし、業界には公益財団法人日本エステティック研究財団の「エステティックの衛生基準」があり、日本エステティック振興協議会の統一自主基準も、この基準に準じて施設・設備・機器・備品等の清掃・洗浄・消毒および正しい手洗いを励行するとしています。浴室やサウナ室を設ける場合は公衆浴場法の規定によることとされています。
手洗いは、どのタイミングで何をすればよいですか。
衛生基準では、施術前と施術後を除き、目に見える汚れがない通常の手指衛生は速乾性擦式消毒剤による消毒を行うこと、施術前と施術後および目に見える汚れがある場合には流水を用いた衛生的手洗いを行った後、速乾性擦式消毒剤による消毒を行うこととされています。手指の洗浄後は、清潔なタオル、使い捨てのペーパータオル等で拭き取ります。
器具やタオルは、どこまで消毒が必要ですか。
皮膚に接する器具類は、お客様一人ごとに消毒した清潔なものを使用し、皮膚に接するタオル類は清潔なものをお客様一人ごとに取り替えます。いずれも使用後に洗浄し、消毒します。施術直後に洗浄できない場合は、ふた付きの容器に収納します。洗浄・消毒済みの器具類は、使用済みのものと区別して、清潔で乾燥したふた付きの収納ケース等に保管します。
施術室の明るさや温度に、目安はありますか。
衛生基準は、照度300LUX以上(施術中の施術面)、二酸化炭素濃度1,000ppm以下、一酸化炭素濃度10ppm以下、浮遊粉塵0.15mg/m³、室温17〜28℃、相対湿度40〜70%を示しています。リラクセーション目的でやむを得ず照度を落とす場合は、施術前後に300LUX以上で施術面の観察を行うこととされています。
施術の前に、お客様に確認しておくことはありますか。
衛生基準は、施術を行うにあたり、事前に感染症および皮膚疾患等の治療中か、アレルギー体質か、薬を服用しているか、敏感肌であるか、その他エステティック施術を受ける障害のないことを確認することとしています。施術期間中に体調を崩したり施術部位に異常が生じたりした場合は、直ちに施術を中止し、医師の診察を受ける等の適切な処置を実施します。
出典
- 公益財団法人日本エステティック研究財団「エステティックの衛生基準」
日本エステティック研究財団 - 一般社団法人日本エステティック振興協議会「エステティック業統一自主基準」Ⅳ.4.衛生に関する遵守事項
日本エステティック振興協議会 - 当協会 BASIC課程のカリキュラム/事前の学習用テキスト(第1章 皮膚美容 衛生管理)
BASIC課程
※ 本ページは、公表されている業界団体の基準にもとづく一般的な整理です。数値や方法は原典を必ずご確認ください。個別の施設や運用が基準を満たすかどうかを判定するものではありません。
衛生は、受講の前に身につけていただきます
事前の学習用テキストをお送りします。講座は、その前提の上で実技に入ります。
LINEで相談する BASIC課程を見るお電話:092-409-8380 / メール:contact@k-beauty.or.jp